ゆるるん自宅警備

大人になりたくない大人のブログです

甘栗売りのお姉さん

私がまだ若かった頃、仕事帰りに電車が止まってしまったので夕飯でも食べながら待とうと思い中華街へ寄った。

デート中の人、観光客、色んな人がごった返している街、横浜の中華街。

「どこでご飯食べようかなぁ・・・」などと考えて歩いていたら目の前にいきなり甘栗が出て来た。

甘栗売りのお姉さんがカタコトの日本語でぐいぐい来た。

「オネエサン!アマグリオイシイヨ!タベテミテ!」と言われたが私は飲み物がないと栗やイモが食べられない。

なので「大丈夫です」とお断りした・・・がお姉さんはぐいぐい来る。

 

「オネエサン!イッコ!イッコダケタベテミテ!オネガイ!!」と行く手を塞いできた。

突き出された甘栗は目から5センチ位の近い距離・・・。

このままだと目つぶしされかねない・・・。仕方なく一個口に入れた。

 

「オネエサン!オイシイデショ!ナンコカウ?」と言ってきたので「要りません、ご馳走様でした。」と言ったら「オネエサン、オカネナイノ?」と言われた。

 

これはいい!お金がないと言ってしまえばいいんだ!とナイスなアイデアを思いついたので「そうそう!お金ないんだよね・・・だからごめんね」と言ったら「オネエサン・・・オカネナイノ・・・カワイソウネ。」と同情してくれて大人しく引き下がった。

正直同情などされたくもない。

少々イラっとするのが甘栗売りのお姉さんだと思っていた。

それからは「目を合わせない」「聞こえないふり」と言う方法を取っていた。

 

その後旦那と出会い、旦那が甘栗大好き人間だと知った。

旦那は甘栗があればずっと食べ続ける。

無限に食べれる人なのだ。

 

私は横浜中華街付近に用事があるとわざわざ寄り甘栗を買うようになった。

今は大きな袋で3000円位するんですよね。

結構高い・・・でも行った時はお土産として奮発しています。

 

甘栗屋さんは最初から袋一杯に甘栗を入れません。

半分くらい甘栗が入っている大、中、小の袋が何個か並べられています。

買おうと考えていると「コレモ、アレモ、コッチノモ全部イレテアゲルヨ!コレデ3000円!オトクデショー!」とジャパネットたかたみたいな販売のやり方なのだ。

 

甘栗屋さんも何軒もあるので必死なのだろう・・・でも最初から袋半分なのを知っているので感動は薄い。

それでも「おぉ!」と言って驚いたふりをしておけばお互い傷つくこともないので「おぉ!」とだけ言っておく。ここ大事!

いやはや・・・私も年を重ねて大人になれたんですかね?

イラっとしなくなりました。

こんな感じで毎回驚いたふりをしてせっせと甘栗を買っていました。

 

でも中華街の中にはツワモノもいるんです!

30歳過ぎた私は色んな事にあまりビックリしなくなってきました。

そんな私でも「えぇ~!?」と思うような人もいるんです。

 

その日も旦那のお土産に甘栗を買おうと思い甘栗屋さんに行きました。

 

いつもの甘栗これだけ入れちゃうよー!って言うジャパネット甘栗なるものを3分位見て「おぉ!」と一通り驚いて「じゃあこれください」と言ってお会計・・・

ここまではいつもの流れなのですが、「オネエサン!モウヒトツ買うヨネ♪」と言われたのだ。

「いや・・・もう買ったから甘栗はいいですよ。はい3000円」と渡したら「ショーヒゼー240円ダヨ!」と言われた。

 

消費税???そんなの書いてないけどまぁ税金なら仕方ないか・・・と思い小銭を探したが、あいにく240円は無かった。

なので追加で1000円を渡したら光の速さでお腹のポケットに1000円を突っ込んだ。

そして何故か代わりに甘栗を渡してきた。

 

「???お釣りは?」と言ったら「コレ1500円のヤツ!!トクベツダヨー!」と言ってお釣りの760円を渡す素振りがない。

 

「いやいやいや・・・お釣り頂戴よ」と言ったら「オツリはコレネ!ダッテ1500円のヤツダカラ!!」と言ってぷいっとそっぽを向いてしまった。

彼女はお釣りを返す気はサラサラないようだ・・・。

お釣りを甘栗で渡す店なんて聞いたことがない。

そもそもそのちょこんと置かれている甘栗が適正価格ではない事は知っている。

いつもそっから追加してるんだから良くても500円位の価値だ。

 

何だ?この気持ちは・・・意思の疎通が全くできていない。

まるで宇宙人と話しているような気持にすらなってくる。

 

誰も平成の時代で、街のど真ん中で堂々とぼったくりに合うと思わないだろう。

私も思っていなかった。

でも現実問題、私は760円ぼったくられた。

栗だけに・・・ぼったくり…なんて思いながら笑った。

笑うしかなかったのだ…。

 

中華街のど真ん中で踊って大声で歌ってやろうかとも思った。

「君が全然金を返さないよ♬むしろ清々しいんだよ♩」と前前前世のメロディーが流れたからだ。

ここまで行くとビックリしすぎて逆に清々しいのだ。

 

きっと彼女の前前前世は「すっぽん金融」みたいな仕事をしてたに違いない。

金に対する執着心がものすごい。

ここで交番まで行き「お釣りを渡さない奴がいる」と言ったって彼女はしれっと「ワタシタヨー」とでも言うだろう。

 

最後の抵抗苦笑いをして大人しく自称1500円の甘栗を受け取った。

きっと心の中で「チョロイ日本人だな…しめしめ」と思っているのだろう。

 

何が彼女をここまでさせているのだろうか?

これも不景気のせい?などと思いながら帰って旦那に甘栗を渡した。

「小さい袋のやつから食べよー」と旦那がご機嫌に甘栗を開けたので「それお釣りなんだ(笑)」と言った。

「は?お釣り?」と言いながらもぐもぐ美味しそうに食べている旦那を見ていたらぼったくられたことがどうでもよくなった。

 

多分私は一生彼女の事を忘れないだろう。

滅多に体験できない事だった。

でも彼女から甘栗を買う事は二度とないだろう。

ちょっと渋皮が苦くて、モヤモヤする甘栗でした。