ゆるるん自宅警備

大人になりたくない大人のブログです

イタリアとフランスに憧れた出目金

私のばぁちゃんはオシャレでした。

 

服を何着も持ち化粧も毎日して白髪染めもせっせとする人でした。

ただ、騙されやすいばぁちゃん。

 

ある日イタリア人も着ている服だと言って大阪のおばちゃんが着そうなヒョウ柄の服を買ってきたりしていた。

大きくお腹のあたりにヒョウの顔が書いてあり、イタリア人も着ているとは思えない。

 

「そんなヒョウ柄の服を着ていたら間違って鉄砲で撃たれるよ!」と言っても「イタリア人だって着ているんだ、あんたにオシャレはわかんない!」とぷりぷり怒る。

 

ヒョウ柄の服を着たばぁちゃんはどこへ行っても目立つ。

探す手間は省けるけど目立ちすぎる。

その服はやめてくれとお願いしたら違う服を買ってきた。

 

買ってきたのは5段フリルのツーピース。

 

「これフランス人も着ているんだって!!おフランスよー♪」と嬉しそうに報告するばぁちゃんに何も言えなくなってしまった。

 

おフランスに憧れるのはイヤミとスネ夫だけで十分だ。

 

ちなみに5段フリルを着たばぁちゃんは出目金みたいだった。

 

化粧も頑張るばぁちゃん。

雑誌を見ながらおしゃれをしたんだろう・・・

瞼に真っ青なアイシャドーを塗りたくって私の帰りを待っていた。

 

帰宅してばぁちゃんの顔を見てびっくりして「誰に殴られたの?」と聞いたら「もうあんたなんか知らない!」と怒鳴り散らした後に静かに顔を洗っている姿を見た時にはさすがに申し訳ないと思った。

 

食生活にも流行りを持って行こうとする時期があり、「イタリアの貴族しか食べられないんだ!」と言ってドヤ顔でナポリタンを出してきたり、「ピザって言うオシャレな食べ物がある」と言ってレンジでチンするピザを買ってきたりいちいち忙しい。

 

どこから聞いてきたのか晩御飯がフランスパンとオリーブオイルだけになったこともあった。

 

実際ばぁちゃんはイタリアにもフランスにも行ったことはない。

 

そんなばぁちゃんの誕生日にCHANELの口紅をプレゼントしたことがある。

口紅一つなのに丁寧に可愛らしくラッピングをしてもらった。

 

「はいプレゼント」と渡したら「え?なにこれ?ずいぶん小さいわね」とご不満の様子・・・

CHANELの口紅だよ・・・おフランスだよ・・・」と言ったら「えー!あれでしょう?5番でしょう?」と言われた。

 

5番ではない・・・5番は香水だよ・・・

っていうか、5番とか知ってた事にびっくりした。

 

口紅を早速使うのかと思ったら、キャップを開けたり閉めたりなかなか使おうとしない。

口紅を眺めてニコニコしている。

 

口紅一つでご機嫌になってくれれば安いもんである。

 

そこで勇気を出して言ってみた「出目金とヒョウの服やめない?」

ばぁちゃんの返事は「・・・あんた服買ってくれる?」

 

この人服も買ってくれとか言ってるよ・・・

 

その日以降、ばぁちゃんと洋服を見に行ったり、化粧品を見に行くことが多くなった。

 

結構いい感じになってきたんじゃない?って思っていた矢先、ばぁちゃんの髪型が大仏みたいになっていた。

 

「どう?髪型変えたの!」と自信満々に言うばぁちゃん。

 

ローマの休日のオードリーヘップバーンみたいにしてもらったの!」と言うけど全然ヘップバーンじゃない。

 

ヘップバーンに謝ってくれと言うレベル。

 

 

出目金の服も、ヒョウ柄の服も、仏壇みたいなコートも真っ青なアイシャドーも全部受け入れよう・・・。

 

ばぁちゃんはきっと変わらない。

 

ばぁちゃんが高価な壺とか買わなければそれでいいじゃないと色々諦めた。

 

その時じいちゃんが帰ってきて自称ヘップバーンヘアーを見て

「ん?おまえどうした?パンチパーマをかけたのか?」と能天気に言っていた。

 

私もこれくらいドンと構えて生きていこうと心に決めた。